【カズオ・イシグロ】 日の名残り




ノーベル文学賞2017おめでとうございます!



大好きな作家

すごくうれしいです!!


カズオ・イシグロの「日の名残り」読了。

第2次大戦後のイギリスの執事が、自らの半生を思い起こしながら1週間に満たない旅をする、という物語。

読んでいて、執事の語り口調が、どうしても「ダウントン・アビー」に登場する執事のカーソンを思い出してしまって困りました!

本作はブッカー賞を受賞した名作で、アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされています。

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そういうわけなので、ダウントンシリーズのカーソンとは、体形的にも大きく異なるわけですが、想像は自由です。いたし方ありません。


没落するイギリス貴族とアメリカ

戦後、アメリカが世界を席巻する中、没落するイギリスは最もその影響を受けたと思われます。
なにしろ言語が同じで、親戚や姻戚も歴史的に多いですから。

そんな本作の時代設定には、日本起業の没落にも似た皮肉があります。

主人公の、執事という職業の「品格」に関する自問自答などは、日本の製造メーカーが製品の「品質の高さ」は世界中の誰もが求めているもの、と信じて疑わない姿勢に似ていると感じました。


品格とは何か?

主人公は、由緒正しい執事、品格のある執事を目指しました。

そのことで、自分を慕う女性を失うことになってしまったり、主人を盲信した結果、戦前の主人の行動が、主人公の執事を時に苦しめることになったりしたのです。
そしてそれらのことに、短い旅行のなかで気づくのです。

日の名残り」の原題は、The remains of the day です。

remain には 「残存する、存続する、生き残る、取り残されている」といった意味がありますから、タイトルそのものに、すべてが象徴されているように感じました。


原文で読みたい作品

年明けから、たてつづけにカズオ・イシグロ作品を読みましたが、この「日の名残り」は、原文で読んでみたい作品です。
相応の英語力があれば、ですけど。

きっと、英文表現の違いなど、英語を学んでいる方には面白いのではないかと感じました。

※この投稿は http://book.blog-makiko-omokawa.com/ にもあります。
2018年以降のブックレビューは上記URLをご利用いただけますよう、お願い申し上げます。

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