【ヘンリー ホームズ (著), 横浜開港資料館 (編集)】 ホームズ船長の冒険―開港前後のイギリス商社


ホームズ船長の冒険―開港前後のイギリス商社」読了。

本書は、江戸末期、開国を迫られ、長崎や横浜が開港する前に、中国を経由して日本にやってきた、ホームズ船長の手記と、ジャーディン・マセソン商会の関連書簡が掲載されています。

ホームズ船長は、長崎に上陸して、早朝散歩のついでに、家に上がり込み、布団に寝ている住人と交流するなど、相当な冒険家です。

本書では、ホームズ船長の眼を通じて語られる日本が登場しますが、中国と比較して、日本人の特長が語られています。

私はすぐに自分が、高度の文明をもつ、気のきいた精力的な民族で、かつみずからの強さと能力を十分に信じている、驚くべき人々のなかにいることをさとった。
(中略)
 
私の考えでは、日本人は、隣国の中国人のようにへつらったり、ごまかしたりしない誇り高い精神をもった人々である。下層の人々でさえ、ほかのアジア諸国にはみられなかった自負心を持っている。商売人として、日本人は鋭敏で、熱心で、ぬけ目がなく、しかも非常に企業心にとんでおり、世界の貿易に参加して卓越した位置をしめてもおかしくない。日本人は、全能のドルの価値にきわめて敏感である。鎖国によっても、金銭に対する欲望はなくならなかった。
ホームズ船長は、いずれ日本が世界の舞台に立ち、各国を驚かせるだろう、と予言して、手記を終えています。

ある意味、先見の明のある方だったようで、ビジネスセンスにも長けていたようです。

当時の貿易内容と、商取引の様子がよくわかりますので、この方面に興味のある方には大変面白いと思います。



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