予告編を見ると、英国初の女性首相となるまでの道のりを描いているのかと勘違いしてしまいます。
おそらく、この映画のテーマは「エイジング(Ageing)」。いわゆる老化のことです。
マーガレット・サッチャーは、強い信念と決意を持って、「ゆりかごから墓場まで」と称された英国の社会主義的政策をぶち壊し、本来の競争力ある資本主義を取り戻した首相です。
サッチャーが首相になった当時を、産業革命から100年後の病み衰えた英国に例えると、若い国に生み直したのがサッチャーであったと思います。
1970年代の英国は、「英国病」と揶揄され、本当にひどい時代だったのです。
逆にサブカルチャーとしてのロックでは、クィーンやセックスピストルズを誕生させましたが。
これらの原因は、高福祉政策と国営化された産業構造です。
労働者はストを起こし、自らに利する主張を通すだけ、という時代でした。まるで今の日本です。
この映画の素晴らしい点は、やはり言葉ではないでしょうか。
政治家が主役であるから、ということでもありますが、いちいちがかっこいいのです。
たとえば、マーガレットが保守党党首選に立候補することを決めたとき、彼女の仲間は、首相を目指せ、と言いますが、それがこんなセリフになっています。
”If you want to change the Party, lead it. If you want to change the Country, lead it!”
議会での論戦も、本当に力に満ちています。
しかし、映画は、認知症に陥ったマーガレットが妄想する、すでに亡くなっている夫との会話によって進行していきいます。
これが、本当に悲しい。知らず知らずのうちに涙がこぼれてきます。
あっという間に終わってしまった映画でした。
あと5回は観たいです。
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