【久坂部 羊】 「無痛」



無痛 (幻冬舎文庫 く 7-4) を読了。
話題の本だというので読んでみました。



無痛 (幻冬舎文庫)
by カエレバ



心身喪失と判断され、無罪またはそれに近い判決が出ることに対し、怒りを感じる方が増えてきたからか、最近の事件では責任能力あり、とする鑑定結果が出る傾向が高いです。

が、この小説は2006年に上梓されたものなので、ちょっと違和感があるかもしれません。

しかし、犯罪を侵すものはそもそも病気である、という点は、なんとなくうなづけるものがありました。


同じ経験をしていても、犯罪につながるかどうかには個体差があります。

よくテレビ評論家がコメントする、「育った環境はかわいそうだけど、同じような境遇でも立派に働いている方もいますし・・・」という主張です。

犯罪者=病気とする図式には抵抗感もありますが、そうでも思わないと、昨今の残虐な犯罪を説明できないような気もするのです。

昨日会った元帝国ホテルの方が、料理研究家の服部氏のセミナーで聞いた事だが、と前置きして話してくれたのが、アメリカの研究で、刑務所に収監されている犯罪者の食事調査の結果では、重罪を犯した者ほど、幼少時からジャンクフードを食べていて、まともな食事を摂っていないのだそうです。

日本でも同様の結果が得られるのではないかと思います。


というのも、家庭で食事をつくり、それをきちんと食べる習慣のある学生と、食事に関心のない学生とでは、やる気や態度に大きな差があるように感じられるからです。

食事で犯罪を減らすことができるとは思いませんが、病気だとすれば、日々口にする食事がその一因と考えることにも一理あるのではないでしょうか。




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